作戦図を描くときに、カットは実線、パスは点線、という記号の約束をきちんと覚えたいコーチに向けて、作戦盤で使われる線と記号の意味をまとめました。
本記事は、バスケ作戦盤&スコアブックアプリ「BoardStrategist」の開発者が書いています。一般的な記法は指導者向けの教材と解説を確認したうえで紹介し、アプリの操作は実装を確認した内容だけを書いています。
線と記号の対応表
多くの指導資料で共通している描き方は次のとおりです。
| 動き | よく使われる描き方 |
|---|---|
| 選手の移動(カット) | 実線。先端に矢印を付ける |
| パス | 点線(破線)。パサーからレシーバーへ引く |
| ドリブル | 波線(ジグザグ線) |
| スクリーン | 移動の線の先端に、短い直交線(T字)を付ける |
| ハンドオフ | 資料によって描き方が違う |
国際バスケットボール連盟(FIBA)の指導者向け教材「Start Coaching」では、パスを点線、ドリブルをジグザグ線、選手の移動を矢印で表しています。英語圏のコーチング解説(The Hoops Geek)も、カットを矢印付きの実線、パスを破線、ドリブルを波線、スクリーンをT字の端をもつ実線として説明しています。
覚え方としては、ボールが空中を移動するパスは途切れた線、ボールを床につくドリブルは揺れる線、選手が走るだけの移動はまっすぐな線、と分けると整理しやすくなります。
選手とボールの表し方
線のほかに、選手とボールにも定番の書き方があります。
- 攻撃の選手: 1〜5の数字、または丸で囲んだ数字
- ボールを持っている選手: 数字を丸で囲む、または選手の横に点を打つ
- 守備の選手: X、または X1 のように数字を付けたX
FIBAの教材では、守備の X に付けた数字は、どの攻撃選手を守っているかを表します。
資料によって違うところ
上の対応表は確認した資料のあいだで一致していた基本形です。ただし細かい部分には違いがあります。
- パスの線を、FIBAの教材は「dotted(点の線)」、ほかの解説は「dashed(破線)」と呼んでいます。日本語ではどちらも「点線」で通じます
- FIBAの教材はカットを特別扱いせず、選手の移動をまとめて矢印で表しています
- ハンドオフは、線を短い2本線で横切る描き方を紹介する解説がある一方、記号を載せていない資料もあります。スクリーンの記号が載っていない資料もあります
確認した資料は海外の教材と解説が中心で、どれが日本で多数派かを示す資料は見つかりませんでした。「実線=カット、点線=パス、波線=ドリブル」は広く使われている慣習ですが、唯一の正解ではありません。
自チームの凡例を1つ決める
記号に揺れがある以上、いちばん確実なのは、チームで使う凡例を1つ決めて図の隅に小さく書いておくことです。新しく入った選手や、別のチームから来た選手も、凡例があれば図を読み違えません。
色だけで意味を分けないことも大切です。白黒で印刷したときや、色の見え方が違う選手が見たときにも、線の形で区別できます。凡例にはカット、パス、ドリブル、スクリーンの4つに加えて、ハンドオフのように資料によって描き方が違う動きをどう描くかも書いておくと迷いません。凡例をチームで決めて共有する進め方は、チームで読みやすい戦術図の作り方で詳しく紹介しています。この記事ではその凡例に入れる具体的な記号を扱っています。
BoardStrategistで線を描き分ける
BoardStrategistの作戦盤では、描画ツールのボタンを選ぶと線の種類が決まります。
| ボタン | 描かれる線 | 使いどころ |
|---|---|---|
| ペン | 実線 | 選手の移動(カット) |
| ドリブル | 波線 | ドリブル |
| パス | 点線 | パス |
| スクリーン | 実線+先端のT字 | スクリーン |
カット専用のボタンはないので、カットは「ペン」で描きます。消しゴム、元に戻す、全消去のボタンも同じ列にあります。線の太さは5段階、色は白・黒・赤・シアン・緑の5色から選べます。
ボールは選手とは別の駒として表示されます。ボールの駒を選手の横に置けば、誰がボールを持っているかを示せます。
一般的な記法と見た目が違う点が2つあります。
1つ目は守備の駒です。アプリでは守備の選手を X ではなく数字入りの円で表示します。初期設定では攻撃が白、守備が青で、画面上部の「OFF」「DEF」から色を変えられます。
2つ目は矢印です。描いた線の先端に矢印の頭は付きません。動く向きは、駒の位置から線を描き始める、図の横に動く順番の番号を書き添える、といった形で補ってください。
描いた図を動かして伝える
描いた線はフレームごとに保存され、アニメーションの再生や書き出した動画にも表示されます。ただし、線の種類で駒の動き方が変わるわけではありません。駒はフレームごとの位置に合わせて動き、線は動きの意味を伝える凡例として表示されます。
向きが静止図で伝わりにくいときは、プレーをアニメーションにすると誰が先に動くかが分かります。作り方は作戦盤でプレーをアニメーション化する方法、選手への送り方は作戦盤の動きを動画にしてLINEで送る方法で紹介しています。
よくある質問
Q1. 作戦盤の実線・点線・波線はそれぞれ何を表しますか?
A. 多くの指導資料では、実線が選手の移動(カット)、点線(破線)がパス、波線(ジグザグ線)がドリブルを表します。スクリーンは線の先端の短い直交線(T字)で表します。団体やチームによって違いがあるので、図に凡例を付けておくと確実です。
Q2. ドリブルとパスの線を逆に描いてもいいですか?
A. チームの中で統一されていれば成り立ちますが、多くの資料と逆になるため、ほかの図を見慣れた選手は読み違えやすくなります。変えるなら図の隅に凡例を書き、新しく入る選手にも説明してください。
Q3. スクリーンの記号はどう描きますか?
A. スクリーンをかける位置まで移動の線を引き、その先端に短い直交線(T字)を付けます。BoardStrategistでは「スクリーン」ボタンで描くと、線の先端にT字が付きます。
Q4. アプリで線の向きはどう示しますか?
A. BoardStrategistでは描いた線に矢印の頭が付かないため、駒の位置から線を描き始める、動く順番の番号を書き添える、プレーをアニメーションにする、といった方法で向きを伝えます。