週2回、1回60分。気づけばウォームアップと説明で半分が終わり、肝心のゲーム形式が10分しかできなかった。この記事は、そんなふうに練習時間の使い方に悩んでいるミニバス(U12)のコーチに向けて書いています。
結論から言うと、60分を無駄にしないコツは「今日のテーマを1つに絞り、4つのブロックに時間を先に割り当てておく」ことです。メニューの数を増やすより、テーマを絞って待ち時間を削る方が、子どもがボールに触る回数はずっと増えます。本記事では、一般的な60分の組み立ての型と、各ブロックで気をつける点、学年で変えるところを順に説明します。
本記事はiPad・iPhone向けバスケ作戦盤&スコアブックアプリ「BoardStrategist」の開発者が書いています。
先に決めるのは「今日の1テーマ」
メニューを並べる前に、今日の練習で子どもに何ができるようになってほしいかを1つだけ決めます。「顔を上げてドリブルする」「パスを出したら動く」のような、ゲーム形式のときに目で確かめられる粒度が目安です。
テーマが決まると、ウォームアップから最後のゲームまでを同じ狙いでつなげられます。逆にテーマが3つも4つもあると、1つひとつの練習が短くなり、子どもは何を頑張ればいいのか分からないまま60分が終わります。
60分の組み立ての型(目安)
ミニバスの練習は、次の4ブロックで組むのが一般的です。ここに書く時間配分は公式に決められた基準ではなく、あくまで一般的な組み方の目安と筆者の考えです。
| ブロック | 時間の目安 | ねらい |
|---|---|---|
| 体を温める | 10分 | けが予防と、ボールに慣れる |
| 技術練習 | 25〜30分 | 今日のテーマの動きを身につける |
| ゲーム形式 | 15〜20分 | テーマの動きを試合の場面で出す |
| クールダウン | 5分 | 体を落ち着かせ、今日の振り返りをする |
合計で55〜65分。集合や水分補給の時間も要るので、技術練習を短めに見積もっておくと、ゲーム形式の時間を削らずに済みます。60分の中で削ってはいけないのはゲーム形式です。
各ブロックで気をつけること
体を温める(10分)
ボールを持ったままのランニングや、ドリブルしながらの鬼ごっこなど、ボールに触りながら体を温める形にすると、ウォームアップの時間がそのままボールコントロールの練習になります。
技術練習(25〜30分)
順番はボールコントロール・ドリブルから始めて、パスへ進むのが基本です。ドリブルは全員が同時に動けるので待ち時間がなく、練習の立ち上がりに向いています。パスやシュートは2人組・3人組で回し、列が長くならないように組を小さく分けます。
ここで効くのが競争の要素です。ドリブルリレーのようにチーム対抗にすると、同じ練習でも子どもの集中力と楽しさが続きやすくなります。ただし勝ち負けに気持ちが向きすぎると動きが雑になるので、「顔を上げていたチームが勝ち」のように、今日のテーマを勝敗の条件に入れておきます。
ゲーム形式(15〜20分)
5対5にこだわる必要はありません。3対3やハーフコートのゲームの方が1人がボールに触る回数は多く、テーマの動きが出る場面も増えます。低学年なら「ドリブルは何回でもつき直してよい」など、ルールを簡単にして楽しさを優先します。FIBAのミニバスケットボールの考え方でも、特に5〜8歳には楽しませることを最優先に、簡易ルールで遊ばせることが勧められています。
クールダウン(5分)
ストレッチをしながら、今日のテーマができていた場面を1つ、コーチが名前を挙げて伝えます。長い反省会は要りません。「次はこれをやる」を一言添えて終わります。
学年で変えるところ
JBA(日本バスケットボール協会)はU12カテゴリー向けの指導ガイドラインを発行しており、その内容はFIBAが進める国際的なミニバスケットボールの考え方に沿ったものです。U12世代では、体格や体力に合わせてボールの大きさ・コート・ゴールの高さ・試合時間を小さくするのが特徴です。同じU12でも低学年と高学年では体の大きさも集中できる時間も違うので、メニューは次のように変えます。
- 低学年(1〜3年生):遊びの要素を中心にします。鬼ごっこやリレーの形でボールに触る回数を稼ぎ、細かいフォームの修正は後回しにします
- 高学年(4〜6年生):技術練習の比率を上げ、2対2・3対3のように判断を伴う練習を増やします。ゲーム形式では「パスをしたら動く」など、戦術の約束事を1つずつ足します
低学年と高学年が同じ時間に練習するチームでは、体を温めるブロックとクールダウンは全員一緒、技術練習だけ2グループに分けると、コーチが1人でも回しやすくなります。
60分を無駄にする3つの落とし穴
- 説明が長い:小学生が立ったまま話を聞ける時間は短いものです。説明は30秒で切り、動きながら直します。動きの形は、口で説明するより見せた方が早く伝わります
- 列で待つ:1列で順番待ちをする練習は、10人いれば9人がボールに触っていません。組を小さくする、ゴールを両側使うなどで待ち時間を減らします
- メニューを詰め込む:5分刻みで8種類やるより、1つの練習を10分かけて段階を上げる方が身につきます。
動きを見せる、予定を残す|BoardStrategistでできること
「説明を短く」と書きましたが、ドリルの動き方を言葉だけで小学生に伝えるのは難しいものです。BoardStrategistの作戦盤では、選手とボールの動きを描いてアニメーションとして再生できるので、「この動きをやるよ」とiPadの画面を見せてから始めると、説明の時間を短くできます。作り方はアニメーション化の記事で紹介しています。
戦術ライブラリには、オフェンス・ディフェンスのセットプレーが収録されていて、その場で動きを再生できます。また、カレンダー機能では「練習」「試合」などの予定をチームごとに登録・管理でき、毎週の練習を繰り返し予定として入れておけます。予定のメモ欄に今日のテーマを残しておくと、次回の組み立てを考えるときの手がかりになります。
よくある質問
Q1. 60分だと、何分ずつ配分すればいいですか?
A. 公式に決められた基準はありません。目安として、体を温める10分、技術練習25〜30分、ゲーム形式15〜20分、クールダウン5分に分けるのが一般的な組み方です。
Q2. 低学年と高学年でメニューは変えるべきですか?
A. 変えるべきです。低学年は鬼ごっこやリレーなど遊びの要素を中心にボールに触る回数を増やし、高学年は技術練習と、2対2・3対3のような判断を伴う練習の比率を上げます。U12世代の体格・体力に合わせて用具や試合を小さくするというJBAのガイドラインの考え方に沿った組み方です。
Q3. 個人練習とチーム練習の比率はどれくらいがいいですか?
A. チームの方針や指導者の考え方による差が大きく、正解を1つに決められません。本記事では1回の練習で1テーマを決め、そのテーマが技術練習(個人)とゲーム形式(チーム)の両方で出るようにつなげることを勧めています。
Q4. 人数が少ない日や多い日は、どう調整すればいいですか?
A. 少ない日は3対3やハーフコートのゲーム、2人組の練習に切り替えて、1人がボールに触る回数を保ちます。多い日は組を小さく分けてゴールを両側で使い、列で待つ時間を減らします。どちらの場合も、今日のテーマは変えずに形だけを変えるのが混乱しにくい方法です。