フォーメーションの名前は知っていても、どれから教えればいいのか、何と何が同じ種類なのかが整理できていない。この記事は、攻撃の型を体系的に押さえ直したい部活・ミニバス・社会人チームの指導者の方に向けて書いています。
結論から言うと、オフェンスフォーメーションは「配置の型」と「動きの型」に分けて覚えると整理しやすくなります。「3アウト2イン」は最初にどこに立つかという配置の名前、「モーションオフェンス」は配置した後にどう動くかという考え方の名前で、軸が違うからです。本記事では配置の型5種と動きの型3種の計8種を、初期配置と「1stオプションが切れた後の動き」をセットで紹介します。
本記事はiPad・iPhone向けバスケ作戦盤&スコアブックアプリ「BoardStrategist」の開発者が書いています。後半でアプリの戦術ライブラリに触れますが、整理の考え方はホワイトボードでも使えます。
第1部 配置の型5種
図は下がゴール側のハーフコート。番号は1がガード、5がセンターの目安です。
1. 3アウト2イン
外に3人、インサイドに2人を置く最もオーソドックスな配置です。スクリーンをかけやすく、オフェンスリバウンドも狙いやすいのが利点です。
1stオプションはウイングからのポストエントリー。切れた後は、逆サイドのビッグがハイポストへ上がるハイローか、ウイングとポストのピック&ロールが定番です。
2. 4アウト1イン
外に4人、インサイドに1人。ペイントに1人しかいないのでドライブとカットのスペースが広く、ガード陣の1対1を生かしやすい配置です。
1stオプションはドライブ&キック。切れた後は、ポストの5がボールサイドへ寄ってピック&ロールに入り、残りの3人はドライブに合わせて位置をずらします。
3. 5アウト
5人全員が3Pラインの外に立つ配置です。ペイントが完全に空くためパス&カットとバックドアカットが主役になります。全員に外角のシュートが求められるため、チーム構成を選びます。
1stオプションはパスした選手のカット。切れた後は、空いた場所を隣の選手が埋め、ボールを回しながら同じ読みを繰り返します。
4. ホーンズ
トップにボールハンドラー、両エルボーにビッグ2人、両コーナーに2人。コーナーから両エルボーを経て逆コーナーまで結ぶと「A」の字に見えることが名前の由来です。ハンドラーは左右どちらとでもピック&ロールに入れます。
1stオプションは片側のエルボーとのピック&ロールで、もう片方のビッグはポップ。切れた後は、反対側のビッグでのリスクリーンか、エルボーへパスしてハンドオフに切り替えます。
5. プリンストン・オフェンス
Pete Carril がプリンストン大で完成させたオフェンスです。バックドアカット、オン/オフボールのスクリーン、規律ある動きが特徴で、基本セットは4アウト1イン、2-3ハイ、1-2-2(5アウト)のいずれかから入ります。厳密には体系ですが、入口として「ハイポストを軸にした4アウト1イン」の形から覚えると全体像をつかみやすいため、ここに含めました。
1stオプションはハイポストへのエントリーからのバックドアカット。切れた後は、ハイポストからのハンドオフや、ビッグの両脇を2人がすれ違うスプリットカットに移ります。
第2部 動きの型3種
ここからは、上の配置と組み合わせて使う「動き方の考え方」です。
6. モーションオフェンス
固定した動線を持たず、「パスしたら動く」「スクリーンをかけたら空いた方へ」といった原則に沿って動き続けるオフェンスの総称です。単一の固有戦術ではなく流派がいくつもあり、プリンストンもモーション系の一種と位置づけるのが自然です。
決まった1stオプションがなく、守備の反応が次の動きを決めるのがこの型の本質です。導入するなら配置の型を固定し、原則を2〜3個に絞って足すのが現実的です。
7. アーリーオフェンス
相手の守備が整う前に得点を狙う、速攻とハーフコートオフェンスの中間にあたる型です。リバウンド直後から決まった走り方でシュートまで持ち込みます。
1stオプションはゴール下へ走るビッグへの早いパス。切れた後は、遅れて上がるビッグ(トレーラー)とのドラッグスクリーンに移り、崩れなければ配置の型へそのまま流れ込みます。
8. アイソレーション
得点力のある選手に1対1のスペースを作る型です。残りの4人は遠い位置に広がってヘルプが来にくい状況をつくります。終盤の1本やミスマッチ狙いで使われます。
1stオプションは1対1そのもの。切れた後は、ヘルプの裏で空いた選手へのキックアウトが答えです。多用すると他の4人の足が止まるため、他の型と使い分けます。
どの型から覚えるか
8種を同時に入れる必要はありません。おすすめは配置の型を1〜2つ固定し、その上に動きの型を1つ乗せる順番です。中学・高校の部活なら3アウト2インか4アウト1インから入り、1stオプションを全員が迷わず出せるようにしてから2ndオプションを1つずつ増やす方が、種類を増やすより試合で機能します。
静止図の次は「動き」で確認する|BoardStrategistの戦術ライブラリ
この記事の図は初期配置だけです。選手に伝えるときに難しいのは1stオプションが切れた後の動きで、静止図では伝わりにくい部分です。
BoardStrategist(iPad・iPhone対応、15言語)の戦術ライブラリには、エンドライン、サイドライン、定番アクション、ハーフコート、システム、トランジション、プレスブレイク、ラストプレーといったカテゴリでプレーが収録されています。本記事に関係するものでは、ハーフコートの「ホーンズセット」、システムの「プリンストンオフェンス」「モーションオフェンス」「5アウト・ディレイ」「ドリブルドライブモーション」、トランジションの「アーリーオフェンス」があります。
各プレーには「守備がこう来たらこう返す」という読み(オプション)が2〜3通り入っていて、オプションのタブを切り替えるとステップ説明とキーポイントも変わります。本記事の「切れた後」を動きで確認できる作りです。再生速度は0.5倍・1倍・2倍から選べます。
詳細画面の「作戦盤で開く」で配置を作戦盤に読み込み、自チーム向けに動きを描き替えることもできます。なお、無料で試せるサンプルはサイドラインの「サイドラインボックス」のみで、ほかのプレーはProで解放されます。作戦盤での動きの作り方は作戦盤アプリでプレーをアニメーション化する方法で紹介しています。
よくある質問
Q1. モーションオフェンスとセットオフェンスの違いは何ですか?
A. セットオフェンスは決まった配置と動線を順番どおりに実行するオフェンス、モーションオフェンスは「パスしたら動く」などの原則に沿って動き続けるオフェンスの総称です。前者は再現性が高く、後者は守備に読まれにくい特徴があります。
Q2. 中学・高校の部活レベルでも使えるフォーメーションはどれですか?
A. 3アウト2インや4アウト1インといった基本の配置から入るのが現実的です。役割が分かりやすく、ポストエントリーやドライブ&キックなど基礎的な1stオプションを組み込みやすいからです。
Q3. ホーンズは何が強いのですか?
A. 両エルボーにビッグが2人いるため、ピック&ロールの選択肢が左右にあります。片方がロール、もう片方がポップと役割を分けやすく、スイッチされればミスマッチ、ヘルプが来ればコーナーの3Pと、守備の対応ごとに次の手を用意しやすい配置です。
Q4. フォーメーションは何種類覚えればいいですか?
A. 種類を増やすより、配置の型を1〜2つに固定して「守備がこう来たらこう返す」読みを増やす方が実戦では機能しやすい、というのが一般的な考え方です。最適な数はチームによって変わるので、まずは1つを深く、が目安です。